これが市場だ

◆ 卸売市場とは

昔のいちばは、自然発生的に生まれ、3日に1度とか6日に1度というように、断続的に開かれていました。また、取引される品物もその地域の産物に限られていました。 それに比べ今の市場は、多種多様しかも大量の品物を、季節を問わず全国から、日本にない商品は外国からも集荷し、市民の台所として安定的に供給しているのです。 私たちの食生活に欠かすことのできない魚などの生鮮食品は、最近の消費の多様化に伴い豊富な品揃えが 要求されています。

生鮮食品は、

①鮮度が最も重要だが長期保存が困難

②需要はほぼ一定してるが、天候等によって生産量の増減があり、価格が変動する

③消費地が生産地や出荷地と離れている

という性質を持った特殊な商品です。

以上のような生鮮食料品の流通に関する問題点を解決するためには、多種多様の品物を1カ所に集め、多数の買い手との間で短時間にしかも公正に価格を決め、品物の受け渡しや代金の支払いを迅速かつ確実に行う必要があります。
このような期待を担って開設されたのが卸売市場で、現在では水産物、青果物、肉類と花きを取り扱っており、これには

① 中央卸売市場

② 地方卸売市場

③ ①②以外の卸売市場

とがあります。

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①中央卸売市場

生鮮食料品等の消費と流通の上で、特に重要な都市及びその周辺の地域における円滑な流通を確保するための卸売の中核拠点となるとともに、当該地域以外の広域にわたる流通の改善に資するものとして、農林水産大臣の 認可を受けて開設された卸売市場のことです。仙台市場もこれに該当します。

②地方卸売市場

中央卸売市場以外の卸売市場で、卸売場の面積が水産物では200平方メートル(産地市場では330平方メートル)以上あることが条件です。

◆ 中央卸売市場の特徴

公平を図るため、法律で市場内の取引を規制するという世界でもあまり例のない独特の市場制度です。現在の日本の中央卸売市場の特徴は次の2点です。

① 地方公共団体が市場を開設・運営する公設制度

② 取引の種類は品物の特性により、大勢の買い手を前にして公開で価格を決める「セリ」取引と、卸売業者と買い手の協議によって価格を決める「相対取引」の二種類ある。

◆ 中央卸売市場の具体的な役割

大都市などに住む消費者の皆さんに生鮮食料品などを安定して供給することが第一の役割です。また周辺地域への流通拠点としての役割も果たしています。

集 荷
国内、国外を問わず各地から生鮮食料品等を集め、品揃えをすること。
価格形成
需要と供給の関係を反映させて、誰からも不正がないとわかる公開の場で、品物の適正な価格を決めること。
分 荷
街の小売商や飲食業者などが買いやすい大きさ、量に小分けして売り渡すこと。
取引の決済
販売代金の徴収や出荷者への支払いを速やかに確実に行うこと。
情報の提供
当日の市場入荷量や卸売の価格、その他生鮮食料品などに関する情報などを収集し、伝達すること。
衛生の保持
巡回や抜き打ち検査などによる食品の安全性のチェック、施設・設備の衛生管理など。

◆ 仙台市中央卸売市場を構成する人々

卸売業者
出荷者や出荷団体から依頼された魚などの販売を引き受けて、せりや入札などの方法で、仲卸業者などの買受人に卸売りします。 卸売業者の経営はこの際の販売手数料で成り立っています。
卸売業者は魚や野菜など取扱品目ごとに分かれて、専門の品物だけを販売しています。 生産者が安心して品物の販売を依頼するためには、卸売業者に十分な資力と信用がなければなりません。このため、中央卸売市場の卸売業者となるには農林水産大臣の許可が必要です。
仙都魚類㈱もこの卸売業者にあたります。
仲卸業者
卸売業者からせり等で買った魚や野菜を市場内にあるお店で小分けして、魚屋さんや料理店などの買出人に販売します。
この場合はせり売りではなく、相対売りという方法がとられます。仲卸業者も卸売業者と同様に取扱品目ごとに分かれています。
営業の許可は、開設者(仙台市)行います。2012年12月現在、仙台市場には26社の仲卸業者があります。
売買参加者
魚屋さんなどの小売商や加工業者・問屋・スーパーなどの内、せり等に参加して卸売業者から直接買うことのできる人です。
売買参加者になるには仙台市など開設者の承認が必要です。
買出人
魚屋さんなどの小売商や寿司屋・飲食店など、自分の店で売る商品や、料理の材料を市場内にある仲卸業者の店に仕入れにくる人です。
開設者
「卸売市場法」に基づいて、仙台市が中央卸売市場を開設しています。その役割は次のとおりです。

① 市場の建設、施設の整備・維持管理
② 仲卸業者、関連事業者の許可、売買参加者の承認
③ 取引ルールの制定、市場業者の指導監督
④ 入荷量や価格など情報の公開、提供サービス

市場建設や運営に必要な費用は、市場業者が支払う使用料と税金で賄われています。

◆ 市場の流通

卸売業者は、消費者が求める多種多様な商品を全国各地はもとより世界各国から集荷します。これらの商品は前日の夕方から当日の早朝にかけて市場に運ばれます。 このうち、セリ販売をする商品は、

  • 目的別・種類別・等級別に配列されます。
  • 買受人(仲卸業者・売買参加者)は、「セリ」に先立ち、下見をします。
  • 卸売業者と買受人の間でセリが行われます。 買手が価格を付け合い、申し込み価格の最高値が決定価格となり、はじめて卸売価格が決定します。

仲卸業者によって買受けられた品物は、直ちに仲卸店舗に運ばれ、買いやすいように仕分け、陳列・販売されます。 買受人が仕入れた多種類・多品目の品物は、それぞれ小売店や量販店に運ばれ、消費者に届きます。

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