細身のからだに短い足。なんとも可愛らしいイカが、市場に沢山出回っています。
冬から春にかけて、ヤリイカは沿岸に産卵のために近寄ってきます。今がまさに、「旬」です。
イカ大好きな日本人ですが、なかでもお刺身として人気が高いのがこのヤリイカです。身は透き通るような白さ、上品な甘さ、繊細な味わいで、耳や足も柔らかく美味です。
大型サイズはお刺身で、中小サイズは塩焼や煮つけ、サッと火を通した炒め物もおいしいものです。
ヤリイカは細身の胴の割に「耳」が大きく、形が槍に似ていることから名前がついたようです。
北海道以南の各地沿岸から、朝鮮半島西岸、東シナ海に分布するヤリイカは、沿岸で孵化した後に沖合の深部に移動し、翌年再び沿岸に接近するという、季節的な深浅移動をします。近年、北海道南部から北部、本州日本海側から北海道などの海域で、季節的な回遊が行われていることが明らかになりました。
漁獲量は青森県が最も多く、全国の過半数を占めるといわれています。
■仙台市場への入荷状況
仙台市場へ入荷するヤリイカは、青森県小泊・秋田県男鹿半島・山形県酒田からの入荷が多くなっています。生きているものを箱詰めしますが、特に鮮度の良いものは「活ヤリ」(生きているヤリイカ)で入荷します。
活ヤリは、手で触らない、網で掬わないなど、細心の注意を払って運ばれてきます。網で掬うと背が折れてしまい、鮮度が落ちてしまいます。そのため、市場の活魚槽へ移す場合も、カゴ(底が平らなもの)で掬うようにしているのです。
水温も重要で、現在ならば5〜8℃というヤリイカの棲息していた温度を保つようにしなければなりません。
■ヤリイカの目利き
箱詰めされたものは、下段部分は重なり合い、鮮度に関わらず色が白くなってしまいます。色だけで判断するのではなく、以下のような点にも注意して選んでください。
○目が引っ込んでいない。丸々として輝きのある目であること。
○身に艶と張りがあってふくらんでいること。
全体的に平らになっているものは避けましょう。
■イカの墨
イカもタコも墨を吐きます。墨を吐くのは、多様な生態を誇る魚介類の中でもイカとタコだけです。しかし、どうやらこの墨には性質・役割に違いがあるようです。
タコの墨は比較的サラサラしていて、噴き出されるとすぐに拡散します。しかしイカの墨は粘液に富んでいるため、しばらくは塊になっています。タコの墨は煙幕の役割を、イカの墨は敵の目を欺くためのダミーの効果を果たしているのです。
■イカの切り方
おすし屋さんでもそうですが、ご家庭でもイカを調理する際に、「かのこ」「松笠」と呼ばれる身に包丁目を入れます。
実はイカの組織の表面は四つの層から出来ています。調理する時にはがす皮は、第一層と第二層です。
身は第三層と四層になるのですが、第三層は胴体の横方向に長い繊維が走っています。第四層はコラーゲンの長い繊維が縦方向にあるのです。そのため、このまま加熱すると一方向の繊維が収縮し、皮の残されている方を内側にして、クルクル丸まってしまいます。(スルメになっていても丸まりますね。)そこで、この二つの方向を、縦・横の二方向から予め切っておくようにしているのです。
■ヤリイカの栄養
ヤリイカは、栄養的にはスルメイカとほぼ同じです。
イカは、コレステロール値が高いと敬遠する人もいますが、身に含まれる豊富なタウリンが逆に肝機能に働き、血中コレステロールを抑制するため、血圧を正常にする効果がある健康食品として注目されています。
また、味覚障害の予防に効果のある亜鉛、若返りのビタミンともいわれるビタミンEも多く含まれます。イカのワタには、タウリンのほか、血栓を作りにくくするDHAやEPA、代謝を促進するビタミンB群も多く含まれます。また、イカの墨には、抗がん作用があるといわれています。
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